~賢い減価償却でキャッシュを守る方法~
「今年は利益が出そうだから、少しでも節税したい…」
そんな時に注目される手段のひとつが、“中古資産の購入”による節税です。
特に製造業や建設業、フリーランスの方などで、業務に必要な設備や機械・車両を購入する予定があるなら、“新品より中古の方が節税につながる”ことも。
今回は、その仕組みと注意点を解説していきます。
減価償却とは?まずは基本を理解
資産を購入した場合、その費用は「一括で経費」にはできず、数年かけて“減価償却”という形で経費にしていきます。
たとえば、100万円のパソコンを買った場合、耐用年数が4年とされていれば、年間25万円ずつを経費計上するイメージです。
ところが、中古資産はこの耐用年数が短くなるため、より早く多くの経費として落とせる可能性があるのです。
中古資産の耐用年数はどう決まる?
中古資産の耐用年数は、国税庁が定めた「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって、以下のように計算されます。
中古資産の耐用年数 = 法定耐用年数 − 使用済み年数 × 20%(ただし最低2年)
たとえば…
- 5年の法定耐用年数がある資産(例:パソコン)を
- 使用済み3年の中古で購入した場合
→ 耐用年数 = 5年 − 3年 × 20% = 2年(最低年数)
つまり、本来5年かけて経費にするところを、2年で償却できる=短期間で経費計上が可能になるというわけです。
中古資産の節税活用例
◎ 中古車を購入した場合
事業用に100万円の中古車(使用済み6年)を購入したとします。
普通乗用車の法定耐用年数は6年なので、
耐用年数 = 6年 − 6年 × 20% = 2年
2年間で100万円の減価償却が可能になります。
新品の場合よりも短期間で大きな経費計上ができ、その年の利益を圧縮=節税効果が高まることになります。
◎ 中古機械・設備を導入した場合
製造業や建設業などでは、中古の作業機械や工具類も対象にできます。
新品での設備投資が難しい場合でも、中古導入により節税+導入コストの圧縮が狙えます。
注意点:節税ありきの購入はNG!
ただし注意すべき点もあります。
- 本当に業務で使用するものか?
→ 実際に事業に必要な資産でなければ、経費にはできません。プライベート用途はNGです。 - 耐用年数の算定には根拠が必要
→ 使用年数が分からない中古資産を購入した場合、「見積耐用年数」で税務署に否認される可能性があります。
→ できるだけ購入時の資料(整備記録・型式・製造年)などを残しておくことが大切です。 - 毎年の利益を見越した計画的な購入を
→ 減価償却は“今だけ得する”節税ではなく、“将来の経費を前倒しで使う”側面もあります。
→ 来年以降の利益とのバランスも見ながら判断しましょう。
中古資産の活用は「賢い節税戦略」の一手に
中古資産の購入は、設備投資と節税を同時に実現できる貴重な手段です。
特に年度末に向けて利益が見込まれる事業者にとっては、有効な選択肢になります。
ただし、購入時の書類管理や、使用目的の明確化など、税務上の根拠を整えることが不可欠です。
当事務所では、資産購入に伴う節税シミュレーションや、耐用年数の判定、会計処理まで一貫してサポートいたします。
「この中古設備、経費にできる?」「いつ購入すべき?」など、お気軽にご相談ください。