消費税還付となる事業者への調査が強化されています

~「還付=不正」と思われないために、今できる準備とは~

ここ数年、税務当局が「消費税の還付」を受ける事業者に対する調査を強化していることをご存知でしょうか。
特に、設立間もない法人や、輸出取引を行っている事業者、設備投資を行ったばかりの法人など、還付が発生しやすいケースでは、事前にしっかりと備えておくことが重要です。

今回は、消費税還付に関する調査の動向や、注意すべきポイントについてご紹介いたします。

目次

なぜ今、還付に対する調査が強化されているのか?

還付とは、仕入れや設備投資などで支払った消費税額が、売上にかかる消費税額を上回った場合に、差額が返金される仕組みです。
これは法令に基づく正当な制度ですが、不自然な還付請求や不正利用の温床となるリスクもあるため、税務署はこの分野に目を光らせています。

特に近年、以下のような動きが背景にあります。

  • 一部の事業者による「架空仕入れ」や「実態のない取引」を利用した不正還付
  • IT技術の進化により、還付対象の法人をデータベースからピックアップしやすくなっている
  • 輸出や高額設備投資などを利用した“意図的な還付スキーム”の広がり

そのため、還付が発生する場合には、「正当性の証明」がこれまで以上に求められる時代になってきました。

どのようなケースで調査対象になりやすいのか?

以下のようなケースでは、実地調査や書面調査の対象となる可能性が高いといえます。

  1. 設立直後の法人で還付が発生している
     → 売上がない・少ない中での大きな仕入れや設備投資に対して、「実態があるか?」が確認されます。
  2. 継続的に還付が続いている
     → 還付が3期連続で続いているなど、不自然な傾向が見られる場合には、継続的な取引内容の精査が入ります。
  3. 取引先や仕入先に疑義がある
     → 架空業者や実態の乏しい会社との取引に基づく仕入税額控除には、特に厳しい目が向けられます。
  4. 高額設備投資がある年に還付が発生している
     → 実際に設備が存在しているか、稼働しているかなどを確認されることがあります。

調査に備えておくべきポイント

還付自体は何ら問題のない制度です。ただし、スムーズに処理を終えるためには、以下のような準備・管理が求められます。

  • 仕入や経費の「契約書・請求書・振込記録」の整備
  • 物理的な納品・稼働の実態(写真や現物確認など)を残しておく
  • 仕入先や発注内容の選定根拠の明確化(価格の妥当性など)
  • 定期的な帳簿の点検と、税理士との情報共有

また、調査が入った場合には、感情的にならず、誠実に事実を説明する姿勢が大切です。

最後に:税務調査は「怖いもの」ではありません

還付を受ける場合、税務調査が来る可能性はゼロではありません。
しかし、それは「不正を疑われているから」ではなく、「制度が正しく使われているか確認する」ためのプロセスでもあります。

とはいえ、調査に慣れていない事業者様にとっては、大きな不安を感じることもあるでしょう。
だからこそ、日ごろからの帳簿管理や、税理士との密な連携が非常に重要です。

当事務所では、消費税の還付申告に関する事前の相談、必要書類のチェック、調査対応のサポートまで、一貫してサポートしております。
「この取引、還付対象になるかな?」といった素朴な疑問でも構いません。お気軽にご相談ください。

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